2011年12月31日土曜日

E.Hカー『歴史とは何か』読後感

我々が歴史家又は歴史学者から歴史的知識を得る時、如何に彼等からの価値観の影響を被っているかと言う事が説得力ある筆致で書かれている。我々の知識や視野が拡大、深化してゆく事で歴史的事実の因果関係に新たな解釈を生ぜしめ、それによってより広い世界観、思想を獲得出来る。ここにこそ歴史を学ぶ意味と歴史を記録してゆく価値があるのだろう。

立花隆『臨死体験』読後感

膨大な資料と広範囲な詳細調査をもとに著者の体験を交えて語るその論理はさすがに説得力のあるものであった。なんらかの意識主体が経験する特異な事柄が果たして脳内で生じた単なるイメージなのか、実際にその主体が体外遊離して生じたものなのかを徹底して追及した内容である。しかしその膨大且つエネルギッシュな思索にも拘わらず、その結論はどちらとも決しかねると言うものであった。それは、未だ我々の時代の技術、知識、科学レベルがそれらを解決し得る程には発達していないと言う事を意味するのであろうか?将来何らかの方法でその結論が出され、死後の世界若しくはそれに類する、現在の世界とは別の世界の存在が明らかにされると、人類の意識は革命的に変容するのかもしれない。勿論そのような世界は存在しないと言う結論に達する可能性も充分にあるのだが・・・・。どちらにしても著者が最後に『この調査を通して私は死が怖くなくなった。素直にそれを受け入れられると思うようになった』と述べている箇所からは、私自身大きな勇気と安心感を得る事が出来た。

ヘーゲル『歴史哲学講義』読後感

ヘーゲルはこの書で西欧近代が達成した精神文化(=人間の自由の全き発展)のルーツとその発展過程を描いている。しかしその捕らえ方はいかにも西欧文化偏重で、中国やインド等にも可也のボリュームを割いているが、彼の言う『世界精神』の発展にはそれらの文明は全く寄与しておらず、ましてやアフリカ、中南米等の歴史はヘーゲルに言わせると世界史の舞台からは全く外れている。彼の著述はいささか手前勝手な論理展開であるとの観は否めない。しかしながらその歴史を見る視野は壮大であり、ペルシャからギリシャ、ローマ、中世キリスト教、宗教改革を経て、ゲルマン社会に花咲いた近代文明を描く雄大な物語は圧巻であった。彼の言う『世界精神』とは『神』を意味していると思うが、そういった意味では『人類が営々として築いて来た、又築きつつある文明とは何か?』『文明発展をささえるエネルギーは何か?』『その行く末は?』を考えさせてくれる刺激的な内容であった。